部屋を探している人がもっとも重要視する「家賃」ですが、この「家賃」がどのように決められているかをご存知でしょうか?実は、部屋の数や駅からの距離といった具体的な数値以外に「大家さんと不動産屋さんの関係」という不思議な要素が含まれているのです。
部屋探しの前に、この6項目について理解しておくことが重要です。
家賃を決める6つの要素① 交通の便
家賃はまず「場所」から決まります。地価と同じで都心に行けば行くほど高くなりますし、駅に近ければ近いほど高くなるのが一般的です。同じ市内や区内であっても、ひと駅違うだけで家賃が大きく変わることもあります。
それは合理的な理由の場合もありますし、ぞれぞれの街のイメージが大きく影響を与えている場合もあります。
最寄りの駅…イメージ・便利さに惑わされない
基本的に、急行停車駅や複数の沿線が乗り入れている駅の周辺エリアの家賃は高めです。都心への便が良いという点と、街が栄えているというのが大きな要因です。便利であるにこしたことはないですが、そのぶん家賃は高くなります。家賃を多く払うだけの価値があるか、考えてみる必要があります。
まず、勤務先が急行停車駅でなければ、各駅停車の駅でも通勤・通学という面では良いはずです。それと、複数沿線が乗り入れていても、毎日乗るのは1本ぐらいです。
人気のあるショッピング街は、急行停車駅や複数沿線乗り入れ駅にあることが多いが、特に社会人なら買い物なんて休日くらいです。一般にいう「便利さ」に惑わされず、自分自身の生活と照らし合わせてみて、どれだけ好条件なのか再検討してみましょう。
駅からの距離…どこまでが徒歩圏と言える?
駅からの距離は家賃を決める重要な要素です。沿線と駅からの距離で、家賃相場はだいたい決まってしまいます。では、どのくらい離れると、どれだけ家賃に影響が出るのでしょうか?
まず、物件情報にある「徒歩〇分」の記載をチェックする必要がありますが、ちょっと待った(笑)。
これは、一番近い道をたどり、1分につき80メートルの速度で歩いた場合の数値。1分80メートルは普通に歩くのよりちょっと速い。大人の男性がかなり真剣に歩いたぐらいのスピードです。歩くペースは人ぞれぞれ違いますが、実際はもう少しかかると考えた方がいいでしょう。ちなみに、坂道や歩道橋、信号待ちなどの時間はもちろん含まれていません。やはり、一度、自分の足で歩いてみることが一番です。
徒歩5分圏
駅についたらもう家に着いたも同然(笑)。人気の物件であり、家賃の高い物件でもあります。もちろん、駐車場料金も高いことを覚悟しなければいけないでしょう。
人出も多く、にぎやかな駅では、繁華街が目と鼻の先ということも。酔っ払いやカラオケ帰りの団体の騒音に悩まされることも考慮しておきましょう。
徒歩10分圏
「徒歩10分なら…」と思う方も多いかもしれませんが、近いと感じるか遠いと感じるかは意見が分かれる距離です。駅に着いても「さぁ、もうひと歩き」と思ってしまうかもしれません。
バスに乗るにも中途半端な距離と言えますが、このくらい歩けば、大抵は閑静な住宅街に入るので、環境の面は良いエリアと言えます。駅からの近さと環境の良さの真ん中に位置し、家賃は少し安い程度のことが多いようです。
徒歩15分圏
いわゆる「徒歩圏内」と言われるのはここまでかもしれません。少し疲れている時や雨の日はバスやタクシーを使ってしまうかも。バスの有無やタクシーの料金などを事前にチェックしておいてもいいかも。家賃は徒歩5分圏に比べるとひとまわり安くなります。
徒歩20分圏
正直、徒歩圏内とは言えないかもしれません。不動産屋さんも普通は「バスで〇分」という表示を使用する距離と言えます。それでも「徒歩20分」との表示があった場合は、便利なバスが無い可能性も考えられます。駅までは自転車が必須と言えそうです。駅前の駐輪場もチェックしておきましょう。当然ながら、家賃は徒歩5分圏よりも1割ほど安くなります。
バス利用圏
駅からバスを使わないといけない物件の家賃は、徒歩圏に比べると1~2割ほど安くなります。不便と言えばそれまでですが、環境は良いはずです。家賃と環境を重視するファミリーでの引越しなら、バス利用圏も選択肢のひとつと言えます。部屋数や広さ、駐車場が必要という方にもおすすめです。
ただし、バスの運行状況や最終バスの時間はしっかりとチェックしておきましょう。
駅前はあなたにとって絶対条件かを考える
一般的には駅から近い方が便利と言われますが、その分、家賃は高くなります。深く考えずに駅に近い物件しか眼中にない人がいますが、もう一度自分のライフスタイルを考えてみましょう。
例えば、職場や学校が駅から遠い場合、駅が近いよりもそちらに近い方が良いという考え方もあります。その場合は、安くて便利な物件に出会える可能性がグッと高まります・
さらに、駅に行く手段は徒歩やバスだけではありません。自転車やミニバイクなどで行ける距離なら、それほど不便ではありません。駅からの距離で家賃にかなりの差が発生しますので、その金額と駅徒歩圏の必要性を比較しながら部屋を検討しましょう。
また、バスを使わなければならない物件をはじめから対象外とする人も多いようですが、バス利用物件は家賃が1~2割引きになるというメリットがありまし。
駐車場についても、駅から近い場合は設置すらされていない物件もありますが、バス利用地域では、物件に入社専用に割安で用意されていることが多いです。
家賃を決める6つの要素② 築年数と設備
物件は古くなればなるほど人気がなくなります。したがって、家賃も新築と同じというわけにはいきませんから、当然安くなります。
仮に同じ場所に、同じ広さで築15年の物件と築5年の物件があったとすると、その家賃差はどんなに大きくても1~2割です。
築15年の物件には、給湯設備はおろか、エアコンすら付いていないことがあります。
一方で、築5年の新築に近い物件なら、エアコンや給湯器は常識です。その上、CATV、テレビドアフォン、ウォシュレットトイレなども完備しているかもしれません。これだけの設備が整っていれば、家賃が数千円高くてもお得な物件と言えます。
「敢えて昔ながらの物件を探している」という方でなく、ある程度は快適性や便利性を重視したいという方には、少し高いと感じても築年数の少ない物件がおすすめです。
家賃重視ならねらい目はリフォームされた古い物件
設備があればあるだけ家賃が高くなると思っている方が多いようです。実はあまり家賃に影響は与えていません。
仮に築15年の物件に、エアコンや給湯器、インターネット、CATVといった設備を揃えたところで、今となっては当たり前の設備が付いたというだけで、何も付けない場合と比較しても、家賃は大きく変わらないという結果になります。
今風の造りではないという根本的な問題は残るものの、古い物件なら、設備があってもなくても家賃差は少ないとなれば、リフォームをして設備の整った物件を選べば、機能的には問題ない割安の物件になります。安さ重視で古い物件を借りる人は、古いからしょうがないと設備面をあきらめずに、リフォームして設備を充実させた物件をじっくり探してみてください。<きっと見つかるはずです。>は足さんでいい?w
家賃を決める6つの要素③ 構造
構造の違いについては、マンションとアパートで比較してみます。マンションはアパートに比べると1割ほど割高になる傾向があります。
ただし、ここでいうマンションは、鉄筋コンクリート造のマンションです。鉄骨造や軽量鉄骨造のマンションの場合、アパートと構造的にまったく変わらないので、家賃はアパートと変わりません。
家賃を決める6つの要素④ 環境
日当たりや騒音など、環境面で問題のある物件は家賃が安い傾向にあります。
ただ、日照時間ゼロや線路の真横、南側一面がお墓といった常識破りの環境の悪さでない限り、基本的には家賃は大きく影響しません。つまり、「こんなにいい場所なのに、どうしてこんなに安いの?」という物件は、環境面に問題があると考えてもいいかもしれません。
家賃を決める6つの要素⑤ 建築時期と大家さんの事情
この①~④の条件が家賃を決める一般的な要素です。しかし、一度でも賃貸物件探しをしたことがある方なら、「どうしてこちらの部屋の方が高い?」という疑問に遭遇したことがあるのではないでしょうか?
実は家賃は①~④に加えて、
・建設時期
・大家さんの事情
という項目が加味されているのです。これが家賃相場の整合性を失わらせている要因とも言えます。
今は、基本的に物件が古くなれば家賃は安くなりますが、実は1993年くらいまでは、土地バブルの影響で、古かろうが家賃は上がり続けていたのです。
この頃の大家さんは、家賃は今後も値上がりし続けるという前提でマンションを建てているのですが、ご承知の通り、数年のうちにバブルは崩壊しました。そこからわずか5年ほどの間に家賃は3割ほどの値崩れが起こりました。ただ、大家さんが「できるだけ値下げはしたくない」と考えるのは当然といえば当然です。
そのため、バブルの頃の物件は少しずつしか値下げをしていないということもよくあります。
また、バブルとは関係なく、アパート・マンション経営で稼ぎたい大家さんの物件は比較的高く、資産の税金対策程度に考えている大家さんの物件は安いと言えます。こういった大家さんの事情が不自然な家賃差を生み出すことがあるのです。
家賃を決める6つの要素⑥ 不動産屋さんの違い
家賃は基本的には大家さんが決めるのですが、不動産屋さんが「どのくらいに設定するべきか」をアドバイスしているケースが多いようです。そのため、査定をする不動産屋さんによって、家賃にばらつきが出る場合があります。また、同じ会社内でも担当者ごとに違うこともあるそうです。
日当たりの悪い新築物件が、不動産屋さんによって、「日当たりは悪いが新築」と高評価されたり、「新築だが日当たりが悪い」と低く査定されることもあるのです。
また、事業を広範囲で展開している不動産業者は、自慢の営業トークで契約までもっていけるという目算から、多少家賃が高く設定されていることがあります。
まとめ
「家賃」を決める6つの要素のうち、⑤と⑥については物件によってかなり差が出る項目と言えます。
①~④はもちろんですが、部屋選びの際にこの2項目についても考慮することをオススメします。