家賃交渉のテクニック

値引き交渉、家賃交渉で失敗しないテクニックとは?

「ここに住みたい!」と思える部屋が見つかれば、早く契約書にサインをして入居へ、とついつい気持ちが焦ってしまいがち。しかし、少し気を落ち着かせてください。なぜなら、このタイミングこそが値引き交渉(家賃交渉)のラストチャンスなのです。

新築の賃貸物件や人気のある部屋は難しいかもしれませんが、ほとんどの物件は家賃交渉(値引き交渉)が可能と考えても良いと思います。契約を結ぶ前にタメ元でやっておいても損はありません。

不動産屋さんの間では、「交渉されるのが普通」という空気すらあるそうです。つまり、それだけ交渉をする人が多いということです。

値切ってもらいやすいのは家賃?敷金?どの金額?

家賃交渉(値切り交渉)のポイントは、何でもかんでも「安くして」と言わないことです。

「家賃を安くして!」
「ダメなら礼金を安くして!」
「じゃぁ、敷金は?」
としつこく迫ることは、多くの場合、良い結果を生みません。

狙いを定め、さらにジワジワと交渉するのが成功のポイントです。

狙いべき項目ごとにその攻略法をご紹介します。

設備…大家さんにもプラス面あり

部屋の契約を考えながら、大家さんや不動産屋さんから引き出せるのは家賃の値下げだけではありません。部屋の設備を充実させることも可能です。

例えば、気になっている部屋にエアコンがなかったとします。当然ながら、大家さんはそのことに負い目を感じています。そこでの交渉方法は「エアコンがないので家賃を下げて」ではなく、「エアコンが付いていたらなぁ…」と呟くことです。

エアコンは一度設置すれば、その部屋の住人が変わったとしても続けて使用可能です。きっと、不動産屋さんも大家さんに対して「設置するべきですよ」と、あなたの援護をしてくれるはずです。

なぜなら、不動産屋さんは部屋の価値を少しでも上げてもらうことで、入居者を探しやすくなるからです。仮にあなたが入居しなかったとしても、物件のアピールポイントが増えることは歓迎すべき立場なのです。

家賃・管理費…値切りに成功すればあとから楽になる

あなたが狙っている部屋の家賃や管理費は適正かどうか。これが交渉成功に大きく関わってきます。

周辺の同じレベルの部屋と比べてその家賃が適正であれば(少なくとも大家さんがそう感じているなら)、大家さんにとって値下げは断腸の思いかもしれません。しかし、割高な家賃の物件は、わたしたちが思っている以上に多いのです。そうした物件の大家さんは、交渉をしてみると、案外簡単に値下げに応じてくれるものです。

インターネットや雑誌などに掲載されていた物件情報の家賃や管理費は、「仮」の値段と考えて問題ありません。

借りる側が事前に情報を入手することは難しいのですが、

  • 空き室期間が長い物件
  • 悪条件のある物件

であれば、余計に交渉に応じてもらえる可能性が高くなります。

大家さんにとっても、長く空室の期間を作るよりも、多少は家賃収入が減ったとしても、誰かに入ってもらう方がいいに決まっています。

実は家賃は大家さんが一方的に決めることが多々あり、仲介役の不動産屋さんはそれに従っているという場合がよくあります。

つまり、不動産屋さんはあなたの「もう少し家賃が安かったらな…」という言葉を待っていることがよくあるのです。理由は上記の「設備」の項と同じで、家賃が下がることで部屋の魅力が上がるためです。あなたのその言葉が、大家さんに対して家賃値下げを提案する際に一番の説得材料となるのです。

敷金…値切りの努力が水泡に帰すことも…

敷金を必死になって値切ろうとする人がいますが、正直、あまり意味はありません。

敷金は基本的に預け金です。交渉で2ヶ月分という設定が1ヶ月分になったとしても、あなたの使い方(住み方)によっては、退出時に追加で請求をされる可能性すらあります。

ただし、「敷金は返ってこない」という考えは大きな間違いです。詳しくは「〇〇〇」をご覧ください。

仲介手数料…値切りは無理、だが…

仲介手数料は値切れないと考えておいて間違いありません。
借り主が入居時に支払う費用のうち、仲介手数料だけが不動産屋さんの収入となります。窓口が不動産屋さんである以上、最初に身銭を切るようなことはありません。

もし、この仲介手数料を安くしたいなら、最初から手数料半額や仲介手数料割引を謳っている不動産屋さんを選ぶのが最善の方法です。

値引き交渉をしやすいのはこんな部屋

誰もが交通の便が良く、家賃が適正で、整備の揃った部屋に住みたいと思うものです。しかし、そうした条件をすべて満たし、なおかつ安い物件というのはまずありません。

物件にはなにかしらの欠点があり、それをカバーするために家賃が安く設定されています。もす、あなたがその欠点を受け入れるなら、その部屋はあなたにとって「掘り出し物件」となります。

長く開いていた部屋は有利

前項でも書きましたが、入居者が決まらずに長く空いている部屋というのは、恐らくなんらかの悪条件が原因です。不動産屋さんも大家さんも空き部屋を無くしたいと焦っています。そうした部屋に対しては、礼金や家賃の値下げ交渉がベストです。入居審査も緩くなっているはずですので、強気で攻めてみましょう。

長く空いていた部屋の調べ方

では、長く空いている部屋の見つけるにはどうればいいのでしょうか? さすがに、インターネットや情報誌の物件情報には「空室〇ヵ月目」といった情報は掲載していません。

手っ取り早いのは、不動産屋さんに聞くことです。ただし、必ず教えてもらえるとは限りません。事故物件のように、法的に伝えなければいけない義務はないからです。

不動産屋さんがはっきりと教えてくれなかったら、内見の時に確認する方法があります。部屋のポストを覗いてみてください。もしチラシがどっさりと入っていたとすれば、2、3ヶ月は空き部屋だったと推測できます。ただし、管理人さにゃ大家さんがこまめに片づけている可能性もありますので、「必ず」とは言えません。

もっと確実なのは、ガスや水道のメーターです。ガスや水道は契約が切れると、メーターに札が貼られます。その札には封印された日付が記載されているので、その日づけをチェックすれば、いつから空き部屋なのかが分かります。

相手をその気にさせる交渉術

値切り交渉は押しの一手ではうまくいきません。ここでは値切り交渉でのテクニックをご紹介します。

あくまでも「お願い」する

値引きをしてもらって当然、といった態度をとることは得策ではありません。「引越し慣れや交渉慣れしています」というアピールはあまり効果があるとは言えないのです。

家賃の最終的な決定権は大家さんが握っています。そして、当然ですが、大家さんは将来の入居者であるお客さんを選ぶ権利があります。あまりに横柄な態度では、窓口である不動産屋さんが判断して、大家さんにすら相談してくれない…いわゆる門前払いをされることだってあります。

不動産屋さんからすれば、大家さんも大切なお客さんです。値切ることしか頭にないような強硬な入居希望者から大家さんを守る立場でもあるのです。また、簡単に値段を下げてしまっては、自身や会社のメンツを潰してしまうということで、交渉にすら応じてもらえない可能性もあります。

不動産屋さんに「交渉させられた」という印象を植え付けるのではなく、「大家さんに交渉してあげた」と思わせる方が得策であり、不動産屋さんも気持ちよく対応してくれます。

気に入ったそぶりはなるべく見せない

もちろん、エリアによって差はありますが、かなり前から、賃貸住宅市場は供給過剰状態です。つまり、値切れる物件はあなたが考えているよりも多いと断言できます。

前の項でも書きましたが、値切れるか否かはあなたの態度次第です。強硬な姿勢は良くありませんが、「この金額で借りてくれそうだ」と思われてもいけません。「いい部屋だ」と思っても、本心は隠し、慎重に説明を聞くようにしましょう。

いくら気に入った部屋だったとしても、あまり褒めないことも作戦のひとつです。

申し込み前の選定や内見の時には
「気に入ったけど、少し建物が古いですね」
「条件は良いけど、家賃が予算をオーバーしていて…」
といった問題点を指摘するようなことを言って、不動産屋さんを不安にさせることも重要です。

相場の把握は必須であり重要

いくら供給過剰な状態とはいえ、すべての物件が値切り可能というわけではありません。人気の物件は高い家賃を維持しています。同じエリアや、同じサイズの物件の相場は事前に把握しておきましょう。

人気物件に対していくら交渉をしても、「金額が希望と合わないなら別の方に紹介します」と言われてしまうのがオチです。

最強の値切りタイミングは申し込み直前

値切り交渉に一番良いタイミングは申し込み書にサインをする直前です。

不動産屋さんが大家さんに交渉してくれるのは、基本的に1回です。それをどこでお願いするかが重要と言えます。そして、その最強のタイミングこそが、申し込みの直前なのです。

大家さんからすれば、家賃収入が得られるかどうかの瀬戸際ですので、金額を落とすハードルはいくぶん低くなっています。言い方は悪いですが、申し込みをちらつかせることで、交渉の成功率は大きく変わります。

申し込み後の値引き交渉は100%無理です。交渉のタイムリミットは、申し込みの直前までであり、その最終局面こそが、成功が見込める最強の交渉タイムなのです。

まとめ

値下げ交渉(家賃交渉)をすることは恥ずかしいことでも、無意味なことでもありません。
むしろ、値下げ交渉(家賃交渉)はどんどんやるべきです!

しかし、ただただ「安くして!」を連呼するだけでは難しいことがご理解いただけましたでしょうか?

部屋探しの段階である程度の情報は入手していると思いますが、狙っている部屋の周辺の部屋の相場などをチェックしておくと、交渉に役に立てられます。

タイミングや方法、ターゲットなどを吟味してぜひ値下げ交渉(家賃交渉)をしてみてください。

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